「動画を作りたいけれど、予算が心配。補助金は使えないのだろうか」。動画制作のご相談の中で、ときどきこうしたお尋ねをいただきます。補助金や助成金は、うまく活用できれば心強い制度です。ただ、名前は聞いたことがあっても、どんな動画が対象になるのか、いつ申し込めばいいのかは分かりにくいものです。

先に結論をお伝えすると、動画制作の費用は、補助金の「販路開拓」の取り組みの一部として認められる場合があります。代表的なのが、国の「小規模事業者持続化補助金」です。ただし、どの動画でも対象になるわけではなく、公募の回ごとに要件も変わります。そして何より、交付決定の前に発注した費用は対象外になるという大切なルールがあります。

この記事では、2026年10月時点で公式サイトから確認できた情報をもとに、動画制作に使える可能性がある制度と、申請前に知っておきたい注意点をまとめました。補助金の細かな要件は公募のたびに見直されるため、実際に申請するときは、必ず最新の公募要領と、地域の商工会・商工会議所で確認してください。

この記事の結論

動画制作は、持続化補助金などで「商品・サービスの販路開拓のための広報」として計上できる可能性があります。一方で、単なる会社PRや求人目的の動画は対象外とされるなど、条件があります。交付決定前の発注は対象外になるため、動画の依頼は交付決定を受けてから。詳しくは最新の公募要領と商工会・商工会議所で確認しましょう。

動画制作に補助金は使える?基本の考え方

補助金は、国や自治体が政策の目的に沿った取り組みを支援するために、費用の一部を後から補助する制度です。「動画制作のための補助金」という名前の制度が用意されていることは多くありません。多くの場合、「新しいお客さまを開拓する」「販路を広げる」といった取り組みの中で、そのために作る動画の費用が対象経費として認められる、という形になります。

つまり、大切なのは「動画を作ること」そのものではなく、「動画を使って、どんな商品やサービスを、誰に届けるのか」という計画です。補助金を検討するときは、まず事業の計画があり、その手段のひとつとして動画がある、という順番で考えると整理しやすくなります。

小規模事業者持続化補助金と動画制作

動画制作との関わりでよく名前が挙がるのが、国の「小規模事業者持続化補助金」です。小規模事業者などが、自ら作った経営計画にもとづいて行う販路開拓などの取り組みを支援する制度で、商工会・商工会議所の支援を受けながら申請します。

事業を営んでいる場所によって、商工会地区と商工会議所地区に分かれ、問い合わせ先や事務局のサイトも異なります。三重県内でも、事業所のある地域によってどちらに当たるかが変わるので、まずは自分の地区を確かめておきましょう。

補助上限と補助率(第20回公募時点)

一般型・通常枠の第20回公募の公募要領(第8版、2026年7月21日)では、補助上限は50万円、補助率は3分の2(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は4分の3)とされています。インボイス特例や賃金引上げ特例の要件を満たす場合は、上限が上乗せされる仕組みもあります。

同じ公募要領では、申請受付は2026年11月5日から12月15日17時まで、商工会・商工会議所が発行する「事業支援計画書(様式4)」の受付締切は2026年12月4日と案内されています(いずれも予定で、変更の可能性があると記載されています)。申請は電子申請のみで、GビズIDプライムのアカウントが必要です。

動画が関わる経費「広報費」と「ウェブサイト関連費」

第20回公募の公募要領では、動画の制作に関わる経費として、主に次の二つが挙げられています。

  • 広報費:パンフレットやチラシ、インターネット広告、SNS広告などの作成・活用の経費。対象となる例として「商品・サービスの宣伝のための画像や動画作成」が示されています。
  • ウェブサイト関連費:販路開拓のためのウェブサイトやECサイトなどの構築・更新の経費。自社のホームページやECサイトで使う動画や写真の制作費は、こちらで計上するよう案内されています。

どちらも「その経費だけでの申請はできず、ほかの経費と一緒に申請する」とされ、第20回公募時点では、それぞれ補助金交付申請額の上限が30万円(税込)と定められています。動画をどの経費に計上するかで扱いが変わるため、計画の段階で整理しておくことが大切です。

対象外になりやすい動画

同じ公募要領では、補助事業の計画にもとづく商品・サービスの広報が対象であり、単なる会社のPRや営業活動に使う広報費は対象外と明記されています。対象とならない例には、会社案内パンフレットや求人広告も挙げられています。また、ウェブサイト関連費では、有料で配信する動画や、有料講座で使う動画の制作費は対象外とされています。

そのため、たとえば「会社紹介動画」や「採用動画」は、目的や中身によっては対象になりにくいと考えておいた方がよいでしょう。「新しい商品の魅力を伝え、Webサイトで販売につなげる」といったように、販路開拓とのつながりが説明できるかどうかがポイントになります。

創業間もない事業者向けの枠も

持続化補助金には、一般型・通常枠のほかに、創業して間もない事業者を対象にした「創業型」も設けられています。対象となる条件や上限は枠ごとに異なるため、該当しそうな場合は公募要領で確認してください。

三重県・県内市町の制度

三重県や県内の市町でも、中小企業の販路開拓などを支援する制度が設けられることがあります。たとえば三重県では、令和8年度に「海外ビジネス展開支援補助金」が公募されました。公益財団法人三重県産業支援センターが実施し、補助率は補助対象経費の2分の1以内、上限100万円、対象経費には「広報費(多言語)」などが含まれていました(公募期間は2026年5月22日〜6月30日で、すでに終了しています)。海外への販路開拓が目的の制度で、動画の制作費が対象になるかどうかは、公募の要項で確認が必要です。

市町の制度は、年度ごとに新しく始まったり、内容が変わったり、予算に達して受付を終えたりすることがあります。事業所のある市町の商工担当の窓口や、地域の商工会・商工会議所に「販路開拓やPRに使える制度はありますか」と尋ねてみるのが確実です。

補助金を使って動画を作るときの注意点

交付決定の前に発注しない

いちばん気をつけたいのがこの点です。持続化補助金の公募要領では、交付決定の前に発注・契約・購入・支払い(前払いを含む)をした経費は対象外とされています。採択の通知を受け取っただけではまだ始められず、「交付決定通知書」に記載された交付決定日から発注できる、と案内されています。動画の撮影や編集の依頼も、この日より後になるよう、スケジュールを組みましょう。

公募の回ごとに要件が変わる

補助上限、補助率、対象経費の考え方、締切は、公募の回ごとに見直されます。過去の情報や、ほかの人の体験談をそのまま当てはめず、申請する回の公募要領を必ず読んでください。この記事の金額や日付も、第20回公募の公募要領(第8版)時点のものです。

見積書や相見積りが必要になる

第20回公募の公募要領では、採択後、交付決定までに、価格の妥当性を示す見積書などの提出が求められています。また、1件あたりの発注総額が50万円(税込)を超える場合は、2者以上から見積りを取ることとされています。依頼先には、補助金の利用を考えていることを早めに伝えておくと、書類の準備がスムーズです。

制作のスケジュールに余裕を持つ

第20回公募では、採択発表は2027年3月頃の予定と案内されており、交付決定までにはさらに時間がかかる場合があるとされています。季節の行事や新商品の発売に合わせたい場合は、補助金のスケジュールと公開したい時期が合うかどうかを、先に確かめておきましょう。

動画の依頼先に相談できること

補助金の申請書類は、申請する事業者ご自身が作るものです。そのうえで、動画の依頼先には、補助金を使う予定であることを最初に伝えておくと、話が進めやすくなります。動画の目的を販路開拓とどう結びつけるか、どんな構成にするか、どこで使うかを一緒に整理しておくと、計画書にも書きやすくなるはずです。

K Design では、補助金の申請代行は行っていません。動画の企画や制作、補助金の手続きで必要になるお見積書のご用意には対応しています。動画の費用の考え方は動画制作の費用は何で決まる?で、依頼前に決めておきたいことは会社紹介・PR動画を依頼する前に決めておきたい5つのことでまとめています。

よくある質問

補助金を使えば、動画制作の費用は全額まかなえますか?

全額にはなりません。持続化補助金の場合、第20回公募の公募要領では補助率は3分の2(条件により4分の3)とされ、上限額もあります。また、補助金は事業の実施後に実績報告を経て支払われる仕組みのため、いったんは費用を自分で支払う必要があります。

会社紹介動画や採用動画は対象になりますか?

第20回公募の公募要領では、単なる会社のPRや営業活動に使う広報費は対象外とされ、会社案内パンフレットや求人広告も対象とならない例に挙げられています。商品・サービスの販路開拓とのつながりが説明できるかがポイントになるため、申請前に商工会・商工会議所に相談するのがおすすめです。

採択の通知が届いたら、すぐに動画を発注してもよいですか?

採択の通知だけでは発注できません。公募要領では、交付決定通知書に記載された交付決定日から発注・契約ができると案内されています。それより前の発注・契約・支払いは対象外になるので注意してください。

K Design に補助金の申請をお願いできますか?

K Design では補助金の申請代行は行っていません。動画の企画・制作と、申請や手続きで必要になるお見積書のご用意には対応しています。申請の内容については、地域の商工会・商工会議所にご相談ください。

まとめ

動画制作に使える補助金としては、国の小規模事業者持続化補助金が代表的です。第20回公募の公募要領では、商品・サービスの宣伝のための動画は「広報費」、自社ホームページやECサイトで使う動画は「ウェブサイト関連費」で計上するよう案内されています。一方で、単なる会社PRや求人目的のものは対象外とされ、交付決定前の発注も対象になりません。

補助金の要件は公募のたびに変わります。この記事は考え方の入り口として使っていただき、実際の申請では、最新の公募要領と、地域の商工会・商工会議所で必ず確認してください。そのうえで、「この動画で、誰に、何を届けたいか」を一緒に考えていきましょう。

参考(公式情報)

※金額・日付は2026年10月19日時点で上記の公式情報から確認した内容です。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

補助金の利用を考えている方も、まずはご相談を動画の目的や使う場所を伺い、構成とお見積書をご用意します(無料)。申請の手続きは商工会・商工会議所にご確認ください。

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